「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「何?」
やっと離されたのはそれから数時間後。
呼吸も落ち着いて、少しばかり余裕が出てきた頃。
聞いておきたいことがあったのを思い出した。
「何で私の付き合ったとか別れた時期を知っているんですか?」
彼氏がいたということはさっき言ってしまったけど付き合った、別れた時期云々は言ってない。
それなのにこの人はサラリと言ったのだ。
疑問に思わないわけがない。
すると原さんは私を引き寄せた。
つまり、私は今原さんの腕の中にいる。
「原さん?」
「嫌でも耳に入ったよ」
「は?」
「直接あいつの口から聞いたしね」
あ、あら…そうだったの。
つまり、原さんは元彼の友人ということよね?
私の否定した予想は完璧な回答だったのか…。
そう一人で納得していると、原さんは何を思ったのか私を組み敷いた。
…って、ちょっと待って。
何故私はまた組み敷かれているんだ!?
「何しているんですか!」
「あいつのこと思い出したら腹が立った。だからもう一回」
「意味分かんないですって…ちょ、原さん!」
胸元に顔をうずめる原さんを手で必死に止めれば。
「由依」
甘い甘い声で名を呼ばれた。
こんなの反則だ。
…今まで有村さんだったのに、急に呼び捨てとか本当にダメ。
そんな気持ちと同時に、名前を呼ばれただけで自分が自分でいられなくなりそうなのは初めてだった。
「俺が何て呼んでほしいか分かるよね?」
ニヤリと意地悪そうに笑った。
…そんな目で見つめないでよ。
何だか泣きそうになるから。
「潤一、さん」
「さんはいらない」
「…潤一」
「よく出来ました」
そう言って彼、潤一は満足そうに微笑んだ。
始まりは体の関係、最後は押し切られる形で収まったような、収まってないような関係だけど。
彼となら、そんな関係でもいいのかもしれない。

