「他の子のチョコもらって彼女、悲しませたくないんだ」
「……そう……ですよね」
「ごめんな」
まだうつむいたままの女の子をそのままにして、俺は教室に戻った。
「おかえり~、蜜~~。チョコもらえたか~~?」
「そこ、俺の席」
康平がニヤニヤしながら椅子をシーソーのようにして、ゆらゆらとしている。
「もらわねぇよ」
「え~酷い~~」
「もらう方が期待させて悪いだろ」
俺はその気がまったくないんだから……
「相変わらず美乃里ちゃん一筋だな。で?その美乃里ちゃんからチョコもらえたのか?」
「まだ」
「じゃあ今夜が楽しみだな!あっ、でも蜜は甘いもの苦手だったよな」
確かに甘いものは苦手だ……
でも美乃里からもらうなら、なんだって嬉しい。


