そして透子の手に持ちきらなかった紙袋が俺の腕にもぶら下がっている。
「透子さ、この発作的な買い物癖そろそろ直せよ」
「えぇ~!別にいいじゃん!」
「どうせ仕事で何かあったんだろ?」
「うっ……」
透子はここからそんなに遠くない大学病院に勤務している看護師だ。
看護師という仕事は神経を相当使うのか、ストレス発散をする時にこうやって買い物をするんだ。
「で?電車で帰るのか?」
「うぅん。タクシーで帰る」
「そっ」
よかった。
電車なら透子のマンションまで行かないですむ。
そして何より、早く帰りたいんだ。
あのアパートに。
美乃里のもとに……


