いつものように地下室から応接間に移動し、休憩する。

「あとは反復練習ってとこかしらね」

メグが長い髪を片手で払う。

爆風で埃をかぶってしまった事が、いささか気になる様子だ。

「何度も回数を重ねる事で、魔術の顕現も徐々に早くなっていくわ。前にも言ったと思うけど、魔術を使う者同士の戦いは詰まる所どちらが先に魔術を発動させるかによって決まるから」

確かに相手を倒せないまでも、こちらが先に矢の魔術を発動させる事ができれば、逃げる隙を作る事が出来るかもしれない。

「できればもう少し『矢』にもバリエーションをつけたい所ね。単発、連射、破壊力重視の他に…」

「ショットガンみたいに途中で『矢』が拡散するとか、狙撃銃みたいに超遠距離から狙い撃つとか」

そう言って俺は紅茶を一口飲む。

勿論メグの淹れてくれたものだ。

「ホッホッ、言いおるわい、昨日までヒヨッコだった小僧が」

長老が翼で俺の頭をはたく。

「…いいわね、でも言った以上はできるようになるまで帰らせないわよ?幸い明日から土日だしね」

そう呟いたメグの笑顔はいつもの意地の悪いものではなく、ほんの少し期待を込めたものだった。