「…見違えたわい」

目を丸くして、長老が呟く。

「イメージ一つでここまで化けよるとは…」

「…フン」

腕組みしたまま、メグは鼻を鳴らす。

「当然よ。修内太は私が認めた魔道の素質の持ち主…エリスの生まれ変わりだもの。コツさえつかめばこのくらい当たり前のようにこなせるわ」

そんな事を言ってはみるものの、何やら嬉しさを殺しきれていないように見えるのは気のせいだろうか。

と。

「あれ…」

俺は膝からガクリと力が抜け、その場にへたり込んだ。

魔力の調節が出来るようになったとはいえ、魔力の貯蔵量は変わっていないのだ。

あれ程の威力の『矢』を撃ってしまえば、やはり魔力は底をついてしまう。

「まぁ、まずまずね」

メグが俺のそばまで歩み寄ってくる。

「言いたい事はまだまだたくさんあるけど、昨日の未熟っぷりから考えると進歩した方ね。今日はこのくらいにしておいてあげる」

「……」

昨日と変わらぬ疲労感。

だが今日の疲労感は、昨日よりもどこか心地いい。

それが魔術を成功させた事によるものなのか、メグに認められたことによるものなのかは定かではないが。