そんな事を言った上で。

「私の最上位魔術は『禁呪』よ」

メグは簡単にそれを俺にばらしてしまった。

「おい!メグ!」

長老がたしなめるが。

「いいじゃないの。修内太に言った所で真似できるレベルの術じゃないわよ…それに修内太は他人にこういう内緒話をばらしたりはしないわ」

何食わぬ顔で紅茶を飲むメグ。

信用されてると考えていいのだろうか…。

「ところで禁呪って…」

読んで字の如く禁じられた呪文。

それって行使しちゃいけないんじゃないのか?

「禁呪と呼び始めたのは人間の魔術師どもじゃ」

長老が羽をばたつかせながら言った。

「先代の当主様が戯れに魔物相手に行使した事があってな。あまりの威力に見ていた人間の魔術師どもが勝手に『禁呪』に位置づけおった。だがデッドゲイト家では、使ってはならんという掟はない」

…という事は、メグもその禁呪を使えるのか?

「使えるわよ」

メグは頷く。

「まぁ滅多と使わないけどね。魔力を莫大に消費するから魔力回復に時間がかかるし、禁呪を使わなきゃいけないほどの相手に出くわす事も少ないし」

そう言ってメグはニヤリと笑う。

「何より使ったら確実に相手が死んじゃうから。そんな物騒な魔術、そうそう使えないわ」