そうと決まればとばかりに、メグはソファから立ち上がった。

「今日から実技に入りましょ。ついてきて」

メグがスタスタと歩き始めるので、俺も慌ててついて行った。

絨毯敷きの廊下を歩き、角を曲がる。

そこには何気なく歩いていると見落としそうな、小さな扉があった。

「ちょっと入り口狭いから、頭ぶつけないように気をつけて」

『開錠』の魔術で鍵を開け、メグは扉を開く。

…そこから流れ出す、ひんやりとした空気。

冷たく感じるのは、気温が低いからだけではない筈だ。

何というか、霊気のようなものを感じる。

メグに続いて、俺もその扉を潜った。

潜った先は割と高さがあるので、普通に立つ事ができた。

そしてそこから下へと伸びる石段。

中は真っ暗だ。

どこまで続いているのか、先は見えない。

そんな階段を、躊躇う事なく降りていくメグ。

不安を感じながらも、俺も後に続いた。

…やがて。

階段を下りきり、俺は思わず息を呑む。

終着点には、学校の教室ほどの広さの空間があった。

曇り空のような色の、石造りの冷え切った地下室。

「ま、私の鍛錬場ってとこかしら」

メグが『灯火』の魔術で明かりを灯しながら言った。