宮川修内太の異常な日常~魔女の瞳番外編~

最後に魔術品専門のハンター。

ごく稀にだが、貴重な魔術に関わる品を入手し、アンダーグラウンドで売りさばく者がいるのだという。

例えば魔槍や魔剣といわれる武具。

魔力を変換し、凝縮させた水晶や宝石。

その中には呪眼も含まれる。

そういった魔術品を奪い、金にしようとする輩もいるのだそうだ。

「まぁ私ほどの魔女に手を出すハンターは少ないわ。何せデッドゲイト家の魔女っていったら、ズブの素人でもない限り手を出そうなんて思わないほど、魔道の世界では恐れられてるから。私から呪眼を奪い取れる奴なんてそうはいないわ」

確かに。

並みの人間が、メグから呪眼を強奪できるとは思えない。

「でも貴方は別よ、修内太」

メグはビシッ!と効果音が聞こえそうな勢いで俺を指差した。

「呪眼持ちの癖に魔術の知識が全くなくて、まだ自在に呪眼を操る事ができない。呪眼使いとして半端者の貴方は、エクソシストや他の魔術師、ハンター達の恰好の獲物なの」

「……」

悔しいが反論できないのも事実だ。

突然そのエクソシストとやらが目の前に現れて、「お前は魔女に加担しているから殲滅する」なんて言い出しても、俺には何の抵抗も出来ない。

多分話し合いなんて通じる相手じゃないんだろう。

「幸いにして貴方の存在はまだ知られていないだろうけど…早いうちに呪眼を思い通りに操れるくらいの技術は習得してもらわなきゃね」

メグは長い黒髪を片手で払った。

…どうもこれはメグの癖らしい。

「私だってみすみすハンターなんかにくれてやる為に、修内太に呪眼を移植した訳じゃないんだから」