【side柚希】


男から声をかけられた
さっきの怒鳴り声とは違う優しくウチを心配してるような声で。


大丈夫。
そう答えようと口を開く。


でも、、、

「何で轢いてくれなかったの!!」

口から出たのはそんな言葉だった。



もう頭ン中がグチャグチャで自分が何をしているかよくわかんなかった。


消えたいって思ってたのに轢かれそうになったとき死にたくないって思った。

助かったのに嬉しいのになんでかヤツ当たりをしている。


相手の男は困惑している。

「えっ、ちょっ、」

「そっ、そうだ!ひとまず俺ん家こないか?」


えっ?何言ってるの?
行くわけ無いじゃん。


「…うん。」


えっ?
ちょっと自分何言ってんの?


さっきから思考と行動がリンクしない。

「じゃっ、行くぞ」


そう言うと男はウチを抱えて後ろに座らせる。

「しっかり掴まってろよ」