「うわあああああ!!!!!!」
新入生たちは悲鳴を上げた。


しかし、その悲鳴はすぐに消え、ロイは次のまばたきを終えると別の場所に居た。


ここは….

僕の生まれた町?

誰もいない西グランディアの住宅街に居た。



「ここは仮想空間ってわけか。僕のパートナーはどこだろう…?」

大きな剣がいつも通っていたパン屋さんの横の脇道に置いてある。
ロイはその剣を片手にロイは住み慣れた町を走り回った。


「おーい!誰かいるー??」
大きな声でロイはパートナーの存在を確かめた。

「ばかじゃないの、アンタ!!」
住宅街のどこからか、女の声が聞こえる。

見上げると、ある屋根の上にツインテールの見覚えのある影が見えた。

「アンタね、敵がいんのよ!ここには!そんな大きな声出したらね…」

「後ろ!!!!伏せて!!!!」


ツインテールの女の後ろから、デーモンが現れ、大きな棍棒を振りかざした。
激しい音を立て、屋根が吹き飛んだ。

女は、間一髪で避けたみたいだ。


「これが…デーモン…!」

身長は3mは超えているだろう巨体に、赤い肌、鋭く光る牙に、赤く充血した目をしている。

「イテテテ…!!痛ってぇな、このバケモノが!!!」

すると、女は近くにあった小さなトンカチを拾って、デーモンに飛びかかった。

ロイは足がすくんで、全く動けない。

(な、なんだよ…これ!こんなの倒せっこないよ….)



「うらあああああ!!!!」
女はトンカチでデーモンのすねを叩いた。


―グアァアアァアアア


鬼は悲鳴を上げた。
「こんなんで効くんだ!やっぱりニセモノなんだね!これ!」
女は上機嫌にトンカチをクルクルと回した。

「ホント、アンタは何の役にも立たないわね!さっさとトドメさして教室に戻るわよ!」