片田舎で育ったロイにとって、都会は不思議な空間だ。
洗練された建造物や美術品が街中に散りばめられている。
ちょっと大きく膨らんだリュックサックを背中に背負うロイはデーモン討伐隊の学校がある大都市メルフィスで馬車を降りた。
「おじさん、ありがとう!」
「おうよ、旅人。頑張りなよ!」

ロイは手紙に書いてある地図を頼りに学校を目指す。
何よりもこれから自分がDemon(鬼)を倒すヒトになることが信じられなかった。
不安の中にある高揚感でロイは歩き出す。

学校を目指す途中には大きな通りがある。
メルフィスの繁華街だ。
酒場や食料店、布屋、鍛冶屋など様々なお店が軒を連ねる。
全身毛がむしられた鳥が並ぶその向かい側では、鍛冶屋のガッチリしたおじさんが金槌で赤く熱を帯びた鉄を叩くその光景に少し驚き、ロイは初めて見る人混みに縮こまりながら、大通りを進む。

大通りを抜けると、大きな門が見えた。
10メートルはあろうかという大きな門だ。
門上部の両端には、両刃の剣を持ち、胸の前に掲げる戦士の石像が二対立っていた。
おそらく、あれは討伐隊の英雄であろうと思われる。

僕も英雄になる….!!

ロイは激しく心を燃やすと、門を大きくノックした。

「ロイです!ロイ・グランバトール!!討伐隊に選ばれ、この学校に来ました!」

すると門のどこからか声が聞こえた。
「出身は?」

「西グランディア!!」

「入れ」