投函してからは早く知らせが来ないかと胸が躍っていた。孤独な学校生活もなぜか楽しく感じるほど。そしてついにその日が来た。
母の親戚から家に電話がかかってきた。投函してわずか三日後。
「大変だ!理香ちゃんのお母さんの家が全焼した!」
「そんな…」
わざと声を詰まらせた。
「タバコの消し忘れで燃えちまったらしい。理香ちゃん、こっちには来れそうかい?」
母の実家は遠く離れている。
「ごめんなさい。私、お母さんが死んだショックで病気になってしまって…。それに、お母さんの家が燃えちゃうなんて……。」
嘘泣きをしてみせた。
「みなさん無事でしたか!?」
「いや…みんな死んでしまったよ。」
(ざまぁみろ!)
心の中で高笑いした。散々母を苦しめたんだ。死んで当然だ。もはや理香は普通ではなかった。
電話が切れたあと手紙のことが気になりだした。もしかして家ごと燃えてしまったのではないか?だからと言って電話して確認するわけにもいかない。
「どうしようかな。」
手紙の所在がひっかかり、何にも手をつけられずにいた。
