翌朝。理香は昨日の事など半分忘れていた。身支度を整えてリビングへ向かうと、いつもなら用意されている朝食がなかった。
「ママ?もしかして寝坊したのかな?」
疲れてる母を起こすのも悪い気がしてそのまま学校へ向かった。
(お弁当買えばいっか)
学校ではお昼になるとお弁当屋さんが来てくれる。お腹は空いていたが数時間我慢すれば食べれるのだから問題はない。
学校へ着いて空腹と闘いながら授業を受けていると、突然校長先生が教室へ入ってきた。
「立花理香さん、今すぐ校長室へ来てください!」
「は、はい!」
(私何かしたかな…)
教室内が騒然とする中校長先生の後を着いていった。校長室へ着くとなぜか警察官が二人。
「立花理香さんですね?」
「はい。」
「立花小春さんはあなたのお母さんで間違いないですか?」
「はい。」
この時昨日の出来事が頭に浮かんだ。同時にに嫌な予感がした。警察官二人の顔が曇った。そして、一人の警察官が深呼吸してこう言った。
「大変申し上げにくいのですが、今朝ご近所の方から通報をいただきまして…。」
ゴクッ
音が聞こえるくらい生唾を飲んだ。
「我々がご自宅に向かったところ、小春さんの遺体を発見しました。」
ドクンと心臓が大きく鳴り、カッと目が見開いた。
「詳しい死因は現在調査しております。何か心当たりはありませんか?」
心当たりはある。
「昨日私が知らない女の子に手紙をもらったんです。」
「これですか?」
警察官の手にはビニールに入ったあの手紙。
「そ、それです!」
「この手紙と小春さんの死が関係しているとは思えません。手紙には『二番目の友達見ーつけた』と書いてありました。」
「えっ!?」
昨日の手紙と違う。昨日は『最初の』だった。それが『二番目』になっている。
「あのっ!電話に出ないでください!!母が手紙を読んだ直後に家に電話がかかってきたんです!それで!」
「そんなはずないでしょう。偶然ですよ。」
全く相手にされなかった。
すると。
プルルルルル…
電話だ。警察官の携帯に電話がかかってきた。
「知らない番号だな。…もしもし。」
「ダメッ!!」
慌てて警察官にしがみついたが、もう一人のけと校長先生によって離された。
「名前?久遠幹泰です。あれ?」
電話は切れてしまったようだ。
「悪戯電話かな?校長先生、彼女は今日早退させていただいても宜しいでしょうか?精神的な面も心配ですので。」
「わかりました。」
理香は早退することになった。警察官の指示で一旦母の死因がわかるまで自宅で待機とのこと。
家に帰るなり理香は堪えていた大粒の涙を流した。母の温もりが残っているこの空間で。
