∞ー連鎖ー


ネットが拡大している現代社会。

繋がろうと思えば簡単に人は繋がれる。

ただ

必ずしも幸せをもたらすわけでもない。

一歩間違えば不幸が連鎖していく。

「これが私の持論」

理香は高校2年生。そんな持論を持つおかげで、周囲の話題に全くついていけずにいた。

友達はLINEを主に利用しているが、理香は勿論そんなものをやる必要がないと、スマホを持ちながらも頑なに拒んでいる。

「理香もやろう?」

「無理!」

「つまんない奴。」

こうしてまた一人二人と友達が減っていく毎日。気が付けば友達と呼べる人は誰もいなかった。

学校へ行っても一人で過ごしている。幸いなことにイジメはないが、ただ孤独と共に同じ一日を繰り返すだけのつまらない日々を送っていた。

そんなある日。学校が終わり、理香は近くの図書館に寄った。図書館に寄るのはただの時間潰しにすぎない。家に帰っても誰もいないからだ。

理香の両親は数年前に離婚。母親と二人だけの生活。母親は遅くまで働いており、家に帰ったところで誰もいない。一人っ子で産まれたために兄弟もいなかった。

そのおかげなのか孤独には慣れきっていた。学校での生活はつまらないが、決して苦痛ではなかった。

いつもの席に座り、適当に本を読んでいると、見知らぬ人物が声を掛けてきた。

「ここ、座ってもいいかな?」

「え?」

顔をあげると自分と同い年くらいの女の子が立っていた。制服を着ているが、見たこともない制服。黒髪のショートヘアでなぜか哀しげな雰囲気を醸し出している。下を向いているせいで表情は見えない。

「どうぞ。」

そう言うと女の子は黙って向かいの席に座った。

何分過ぎただろうか。

(何しに来たのかな?)

女の子は本も読まず、と言って何をするわけでもなく、ただ黙って俯き続けている。重苦しい雰囲気に耐えかねて話しかけてみた。

「あのー。」

「何?」

「本読まないのかなって。」

「うん。殆ど読んだから。」

(殆どって…)

図書館の規模はかなり大きく、何万冊もの本が並んでいる。同い年くらいで殆ど読めるはずがない。

すると女の子が鞄から一枚の封筒を取り出した。