美味しいです、美味し過ぎます。



拓斗はかなりご機嫌が斜めのようで、無言でお寿司を食べ続けている。


どう声をかけてよいのやら。



今はこの美味しいお寿司に集中しよう。



「拓斗がずっと思い続けている彼女なんだな。」


拓斗が思い続けている彼女?


思わず顔を上げると、板前さんと目があった。


拓斗にそんな彼女がいただなんて、初耳なんですけど。


急に食欲がなくなった。



「今日は好きなだけ、食べていいぞ。」


食べてる場合じゃないです。


彼女の存在を確かめなきゃ。


「た、く、と、かのじょが、いるの?」


口の中がす飯で一杯でうまく話せない。


凄い顔で睨まれた。


「食事中に話すな。」


だって、彼女の存在が気になるし。


「真凛ちゃんは本当に可愛いなぁ。」


あれ、私、名前を言ったっけ。


「拓斗がこんなんだから、真凛ちゃんは苦労すると思うよ。」


私が苦労するって。


益々頭が混乱してしまう。


拓斗を見ると睨まれた。


拓斗に優しくされた事なんて、あっただろうか。


告白する前までは、かなり優しかったと思うけど。


告白した事が間違いだったのかな。


憂うつなった。