ホテルに戻り部屋でくつろいでいると、拓斗が部屋に入って来た。


なんなのよ。


いきなり部屋にくるなんて。


「おい、何で連絡しない。」


それが問題ですか。


それより、勝手に部屋に入って来ないでよ。


「返事をしろ。」



「観光をしてただけですけど。」


拓斗が大きくため息をついた。


「一人にして悪かった。夕食は一緒にとるから。」


不味いぞ。


かなり不味い状況だ。


長谷川君と食事をしたいんだけど。



「お気遣いはいりませんから。友達と約束があるので、夕食は一緒てなくても大丈夫です。」


「はぁ。」


なんか怒ってらっしゃるようですが、怒られる意味が分かりません。


「友達って誰。札幌に友達がいるなんて、聞いてないぞ。」


「今日友達になった、長谷川君と言う大学生。すごく良い子なの。」


キャー。


何で拓斗にハグをされてる訳でしょうか。


私は拓斗にとって商品のはず、商品を抱き締めてどうするつもりなの。


もう、期待せさせないで下さい。


拓斗を嫌いになれたらどんなにいいか、どんな酷い扱いされても嫌いになれそうもないです。