25階につくと、お前の隣が直人の部屋だからと言われた。


直人さんがいるなら、心強い。



私の部屋から直人さんが出てきた。


「真凛の部屋は綺麗にしといたから。必要な物は全て揃えてあるよ。勿論ご飯も用意したからな。」


ご飯だ、ご飯だ。


嬉しさのあまり、すっかり社長の存在を忘れて、ご飯が用意されたテーブルに座ると。


いきなり首根っこを捕まれた。



「先ず手洗いとうがいをしろ。」



え、そんなぁ。



「拓斗は物凄い潔癖症だから。真凛は拓斗の言うことは聞こうね。」



しぶしぶ手洗いとうがいをした。



「おまえは部屋の物は全て処分した。衣類も化粧品も全て新しい物を用意したから、何も問題はない。」


そんなぁ、勝手に捨てないでよ。


あの部屋にあるもの全て、自分で働いて買った物なのに。


酷すぎる。


社長は私の心を読み取ったみたいに言った。


「なら、あの汚い部屋に戻って、ガス、電気、水道も止められて、餓死をするんだな。」


それは絶体に嫌だ。


この若さで餓死だなんて。



無理無理、ここで我慢します。



「すみません。社長の言う通りにします。」



「分かればよろしい。」



拓斗、嫌、社長は今笑ったよね。


私の見間違い。



「おまえら、本当におもしろいわ。これからが楽しみだな。」


直人さん何がおもしろくて、何が楽しみなんですか。


私は本当にここで頑張って行けるのか、かなり不安なのに。


私の人生は本当に丈夫でしょうか。



何かが間違っているように思えてならない。


紗綾姉に電話しようかな。


頑張りなさいって言ってほしい。