柳姫の夏


小さかった私は、なにも分からなかった。
幼稚園に行ったときも、私は友達と遊ばず、
自分の世界で遊んでいた。
ビー玉で出来たカエルのおうち。
カエルはさよならのとき、きれいなビー玉を私にくれた。
日に当てるとぴかぴかかがやいて。
中には真っ赤な金魚が泳いでいた。

またある日はたたみの部屋で、
キツネの舞妓さんと遊んだ。
キツネの姉さんがくれる和菓子。
天気雨がふりふり、キツネの嫁入り。
いつもじぶんの世界で遊んでいた。
小さかった私は、
それが現実だとおもっていた。