「おっとー武石先生、嫉妬ですかー!?」


「”はい、じゃー薬出しておきますねーオダイジニー”」


「だからサトウさん、それ全然武石先生に似てないですって!」


「は?今の俺のマネかよ。」



ふふっと笑うと、瞬がどしんとあたしの隣に腰かけた。



「・・・ちとせは相変わらずの愛され様だな。」


「そんなこと・・ないよ。」


なんて言いつつも、嬉しくって、にやけちゃうあたし。


それをごまかすように、お弁当をさしだした。



「お弁当買っといたよ・・!」


「さんきゅ。腹へった・・。」






わいわいにぎやかなテーブルの中で




「・・・ってか、昼飯・・二人だと思ってた。」



瞬がぼそっと何かを呟いた。




「え?何か言った?」


「・・・なんでもねぇよ。」



瞬はそう言うと、お弁当を口に流しこみはじめちゃう。



「もう…ちゃんと噛まないとだめだよ。」


「・・・時間ねえ。」



その予言が的中するように、お弁当の7割を流し込んだ頃、瞬は看護師さんに呼ばれた。



「いつもあんま居れなくてわりぃ。」


「ううん、ありがとう!頑張ってね!」



立ちあがる瞬の白衣がひらりとはためく。


水をごくりと一口のんで、速足で歩きはじめた。



颯爽と歩く白衣の後ろ姿は、とっても頼もしい。



瞬は途中で振り返ると、あたしに叫んだ。



「今日当直で明日は日勤だから・・明後日!明後日、けやきの駅!」


「え・・・待ち合わせ?!」


「そう!」



手をひらひら振って、角を曲がった。



「すごいよな。俺より忙しい。」


「オカダ先生が武石先生にいろんなこと丸投げするからじゃないですか!」


「そうですよ!ヒドイ。」


「彼女さんからもなにか言ってやってくださいよー!」


「えー?・・えっと。」



嬉しそうな瞬の背中。



必要とされることの喜びは、あたしにもわかるよ。




「・・・ありがとうございます。」



あたしはぺこりと頭をさげた。