「やっぱりちとせのこと知ってるのか!?」
落ち着きなさい、と立ち上がった俺を座らせた。教授はペットボトルのお茶で喉を潤すと、身を乗り出すように待つ俺に、口を開いた。
「彼女はね…君の話をたまに聞かせてくれたよ。」
「ちとせは今、生きてるんですか!?」
「落ち着きなさい、全部順を追って話すから。それと、こんな場所じゃ話せない。空き部屋を借りてくるから。待ってなさい。」
しばらくして案内してくれたこじんまりとした部屋に入った。
俺の心拍数は最高潮を記録し続けてるはずだ。
・・・さっきから震えが止まらねえ。
「・・・まず、ちとせさんに心臓を移植したのは私だ。」
「成功したんですよね?」
「当たり前だろう。さっきの話聞いてなかったのか?」
「じゃあ・・あの予後は?」
「拒絶反応が強かった。だからああいった数値がでてたんだ。あのグラフの意味くらいは君にもわかるだろ?」
「・・・はい。」
「でも、彼女は耐えた。君に伝えたい彼女の言葉はたくさんあるよ。」
「・・・どんな、言葉を・・・。」
俺は教授の話を聞きながら、ちとせのことを思い浮かべた。