病室に沈黙が始まった。



瞬はこぶしをぎゅっと握りしめて、何も言わない。




そしたら、瞬は突然、あたしに背を向けた。





「じゃあ…どうしたら…助かるんだよ…っ!」




瞬は、そう叫ぶと、その場にしゃがみ込んだ。



肩が・・・震えてる。





「ちとせに…どうしても…生きてほしいんだよ。」




「…しゅ、瞬…?」



鼻をすする音、震える声。






瞬が・・・泣いてる。






「…ごめ、瞬・・・あたし…。」





”瞬にはわかんない”



どうしてそんなこと言ったんだろう。



だれより、あたしのことを考えてくれたのは、瞬なのに。



心の底から、あたしに生きてほしいと願ってるのは、瞬なのに・・・。





「ごめんね…瞬…っ。」



しゃがみこむ瞬の前に座って、謝るけど。



瞬は俯いたまま、床に涙をぼたぼたと落としてる。



「ごめんは・・・こっちだ。俺、なんも・・・っできなくて・・・。わかってやれなくて…ごめん…っ。」



瞬はぐいっと腕で涙を拭うけど、涙は変わらず床を濡らす。




「・・・・っ。代わってやれなくて…ごめん…っ。」




そう言って、ぎゅっとあたしを抱きしめた。