やっと体育館に出れた時、瞬は体育館の隅のほうへと向かってた。



「瞬!」



あたしが叫ぶより早く、瞬の名前を叫んで、走って駆け寄ったのはイズミちゃん。



体育館の隅で、イズミちゃんが肩を貸してる。



「はぁ・・・っ。はぁ・・。」



・・・あたし、なんにもできない。



きっとこの息切れを見せたら、困らせるだけ。



彼女なのに。



怪我をした彼に駆け寄ることだってできない。




「待ってて!」



イズミちゃんが走って体育館を出て行った。



あたしはゆっくり、息を整えながら、瞬に歩み寄った。



「瞬・・大丈夫?怪我したの?」



「降りたのか!?大丈夫かよ!?」



叫んだと同時に顔をしかめた。



「痛いの?・・・足?・・ひねった?」



「や、大丈夫だけど。ったく、降りるなら降ろすって言ったじゃんか。」



とぎれとぎれの言葉がバレた。



瞬はあたしの背を逆にさすってる。



「あたしは、いいから・・・。」



情けないよ。



どうしてあたしは、こうなんだろう。



瞬のために、誰よりも・・・なにもできない。