・・・よし。


今日もめちゃくちゃ勉強した。


このうるせえ教室で勉強って、かなり集中力鍛えられてる気がする。


『キ』


チャイムの最初の音が聞こえた瞬間、教室を飛び出した。



・・・ちとせ、保健室で寝てたりしねえだろうな。


元気だと、いい。



俺は駅を越えて南に走った。



南高のでかくてきれいな校舎。


保健室のでかい窓、三回叩いて鍵が開く。


保健医は窓越しの俺を見て、ちっせー目を細めて笑う。



「うぃーす」


「早いわね。まだ20分くらい授業あるわよ?」


「ちとせは?」


「今日は一回も保健室に来てないよ。調子いいみたいね。」


「よかった。」



窓からよじ登り、いつものテーブルで待機。



机に向かって教科書を広げる俺を、見下してんのか?笑ってやがる。


「・・なんだよ。」


「瞬君は本当にちーちゃんが大事なのね。”チトセバカ”ね。」


「じゃなきゃ付き合わねえだろ。」


「いい男。男の鑑だわ。」


「あっそ。」



たしかに。


俺は。


馬鹿だと思う。



「・・・重いと思うか?」



「瞬君の場合はまっすぐすぎてなぁ。重力に逆らってるから大丈夫よ。」



「・・んだよそれ。でも、ちとせになんか言われたら・・言えよ。」


「えー?人にものを頼む態度じゃないなぁ。」


「・・・ちっ。・・・オネガイシマス。」



「了解。ははっ。瞬君は素直ね。」



・・・コイツ・・。


まぁいい。


時間あるから図書室にでも侵入しよう。


内履きは高校から持ってきたし・・・いける。