二時間予約をして部屋に入る
当たり前だけどふたりっきり

「何も考えてなかったけど二人だ・・・笑」
「もう!考えないようにしてたんだから!
 声に出さないでよ!恥ずかしいから!」
「まぁ今までずーーっとメールしてたんだし
 仲良くなるきっかけ大事だもんな!」

またその笑顔・・・
デススマイルかな・・・
綺麗なおおきな二重まぶたが少し細くなる
頬には小さなえくぼ
そこらの女子より明らかにかわいい

「佐野から歌う??」
「いや、私本当に曲少ないから!」
「じゃ俺から歌うな!」

そういって青山くんが入れたのは宣言通り
車輪の唄

「♫~錆び付いた車輪~」
「!?!?」

声が・・・綺麗
バンプのボーカルににてる
胸にスーっとはいってくる
耳に心地がいい

なんなの、本当に
気持ちよくなって目を閉じて聞いてみる
体全体を包み込んでくれる
そんな歌声
まったく不快にならないんだ

「青山くんすっごい綺麗な歌声・・・」

そう言ったらまたこっち向いて微笑んだ
ずるい

女子と話すの苦手って言ってた
それは本当なんだと思う
メールは一ヶ月くらいしてきた
でも話したのは・・・会話が成立したのは
今日が初めてなんだ
なのに・・・それなのに目の前で
私好みの声で、素敵な声で歌っている

「あぁやっぱりカラオケ気持ちいい!!!
 な!これいい曲だろ?」

気がついたら曲が終わってた
正直声を聞きすぎて内容までは
まったく覚えていない・・・

「うん!いい曲!んでもっていい声!!!」
「そんなに褒めるなよ!照れる・・・
 じゃ次は佐野な!!!」

何ならうたえるかなぁ
ここは無難に・・・ハナミズキ?
でもこれはさすがに有名すぎるかな
笑われちゃうかな・・・
でも他を考えると青山くんを待たせちゃう・・・
えーい!入れてしまえ!!!

画面に大きく映し出されるハナミズキの曲名
なんか言われるかな・・・

「おぉ!ハナミズキいいね!俺この曲好きだよ
 君と好きなひとが100年続きますようにって!
 人の幸せ願えるのかっこいいよな」

・・・何か言われるかなとか考えていて
ごめんなさい・・・
本当に青山くんはそんなこと言わない人だ

「♫~空をおしあげて~」

わたしが歌いだすと青山くんは一瞬身体をこわばらせた
ちょっと怖い
だけどカラオケ楽しい!!!

私は自分なりに精一杯歌を楽しんだ

「やべぇよ・・・佐野・・・
 ひとのこと言えないよ・・・
 どんだけいい声を・・・」

歌い終わった私に青山くんはそう言った
褒めすぎ!!!

でもお互いにお互い好みのこえだったみたい
歌が好きって共通点嬉しいね!!!

このまま私たちは二時間歌い続けた
青山くんの声に包まれながら
自分も精一杯歌った

「やっべ!!!めっちゃ楽しかった!!!」
「私も楽しかったな!」
「気がついたら普通に話せれるようになってるし!」
「本当だよ!最初は一年あるよ!とか言ってたのにね笑」
「そんなに必要なかったみたいだな!笑」

本当に本当にいい笑顔なんだから・・・
「女子とこんなに話せるの・・・不思議な感じ
 佐野だからかな・・・」
「青山くんと話したがってる女子なんてたくさんいるよ?笑」
「だって・・・いいんだって!俺は佐野と話すの!!!」

キュン・・・

何今の・・・危うく誤解するところだったわ

「そんなことさらっと言ってから笑
 好きになっちゃったらどうするのさ笑」
「え・・・?」
「ん?」

しばしばの沈黙
待って今私なんて言った・・・?
ー好きになっちゃったらどうすんの・・・

!?!?
「ち、ちがっ!!そういうんじゃなくて!!!」
「あ、そうなんだ。びっくりした笑」
「いや・・・違うっていうか・・・」

流れで言うもんじゃないでしょ・・・
しかもやっぱり好きになってたよ。。。

「俺ね、付き合うとか正直よくわからないんだ
 今まで彼女できたことないし。願望はあるよ?
 佐野のこと気になってる自分は確かにいる
 でもまだ五月だし・・・もっとお互いを知ろうよ」

「え!もちろんもちろん!!!」

「もう少し時間経って自信持てるようになったら
 付き合おうな!!!いつか付き合う関係ってことで」

・・・まじですか???
え、軽い告白ですかね?
なにかのサプライズ???

それでも

「うん、私ももっと青山くんのこと知りたい」

関係は続けたい。