フェイント王子たち


私たちは振り返っていた姿勢を戻して、女の子たちがハシャいで、昭次さんに注文するのを背中で聞きながら、それぞれに飲み物を口にした。と、背後から、

「いらっしゃいませ、有栖さん」

と、昭次さんの声がして、ビクッとして振り返る。

「あ、こんばんは」

う〜ん、相変わらず、穏やかな笑顔だ。

「久しぶりだね、大吾くん」

「はい。今日は、もう一人、辰巳さんの本読んでる人と、一緒に来ました」