フェイント王子たち


「おかえり」

「おっ、なんかいい臭い」

川合は靴を脱いで上がると私の背後から鍋を覗き込む。

「お〜、美味そうじゃん」

「でしょ」

って、振り返ったら、川合の顔が思いの外近くてびびった。

「…」

「なんだよ」

「別に…」

鍋に向き直る。ヤバいっ、ドキドキしてきた…。

「結婚したら、こんな感じなんだろうなぁ」

「っ!」

「仕事から帰ったら、いい臭いがしててっていう」