フェイント王子たち


「…そだな」

そだなって。ふんっ、この部屋には中岡くんの直筆サインが眠ってんだから。

「ん?…あっ!お前、これ行ったのかよ?」

と、川合はテレビの横のボックスの上に置いてあった1枚の紙を手に取って私にヒラヒラと見せた。ん?何だっけ、あの紙…あっ!美沙がくれたお見合いパーティーのチラシだぁ!

「行ってないわよっ!」

「じゃ、なんであるんだよ」

「行って彼氏が出来た友達がくれたのよっ」

「へ〜。で、そのご利益に授かろうと置いてるのかよ?」

「ち、違うわよっ。捨てるの忘れてただけ」

川合からチラシを取り上げてごみ箱に入れた。

「いいのかぁ〜?祟られるぞ」

「川合さ〜ん」

「おう、今行く」

川合は面白そうに笑いながら大吾に呼ばれて部屋を出る。

「べーっだ」

大吾の部屋に入って行く川合の後ろ姿にあっかんべーをしてやった。は〜、スッキリした。コーヒーでも飲もっと。仕方ないんで、川合の分と、普段は作ってあげる事はないけど大吾の分も、もちろん私のも『お客様用』に買っているドリップコーヒーを入れる。ふ〜、なんか、疲れたな。川合といると、気は使わないけど、体力使ってる気がする。しゃべり過ぎなのかな?