フェイント王子たち


「あ、こんばんは」

思わず姿勢を正す私の脇を美沙が肘で小突く。

「痛い、痛いっ」

「どうかしましたか?」

「いえ、何にも。あ、今日、有栖、引っ越ししたんですよ」

「あ、そうだったんですね」

「ご存知ありませんでした?」

「ええ」

「へ〜」

もう、美沙ぁ〜、止めてよぉ、その顔。だから、何にもないんだってば。昭次さんも変に思うじゃん。