フェイント王子たち


「万っが一、そんな事があったらね。さっ、仕事、仕事」

「あ、冷たくない?」

美沙の脱・越冬隊に協力してあげたい気持ちがないでもないけど、今年はどうやら私も越冬隊の一員。隊長無くして冬は越せないもんっ。

そんなこんなで、とりあえず定時に仕事を終えると、急いで、高橋さんの待つ不動産屋へ向かった。

「こんばんは」

「あ、小瀧さん、お待ちしてましたよ」

高橋さんがいつもの清々しい笑顔で迎えてくれた。