フェイント王子たち


マスターは、明かりを点けると、カウンターの中の、奥の厨房の方に入っていく。

「どうぞ、有栖ちゃん、カウンターに座って」

「すみません、早くに来て」

お言葉に甘えてカウンターの真ん中に陣取って座る。

「あの、マスター」

「なに?」

姿が見えないまま、マスターは奥で何かをしながら、答えてくれる。

「ここ、オープンは、何時なんですか?」

「8時半」