「これから陽光は、色んな人に色んなシチュエーションで、誕生日を祝われると思う。でも、それでも、この先陽光がお墓に入って、千の風になるまで、今日この日を忘れられない日にしたかったんだ。あたしを、菫を、しおりを。忘れられない友達にして欲しかったんだ。・・・例えそれがケーキを顔にぶつけるようなヤツだとしてもね」
あたしは自嘲気味に笑い、続けた。
「あたしバカだから、忘れられない日って言われて、何しようって考えても、こんな人が嫌がることしか思いつかないから、嫌われたってしょうがないんだけどさ。それでも、陽光のこと考えてるって、思ってて欲しい。常にあたしの頭の中は旦那のことでいっぱいだけど。でも、陽光は打算で付き合ってる友達じゃないから」
あたしは、友達と打算で付き合っている。
こいつは、あたしにとってこういう利益があるから付き合ってやろうと。
でも、陽光は違う。一緒にいて、心から『楽しい』って、『面白い』って思える、数少ない友達の1人なんだ。
「そう、だよ・・・」
菫が、小さい声で呟いた。
「あたしも、陽光のこと、好きだから、大好きだから・・・あ、友達としてね。死ぬまで、陽光のこと、忘れないし、忘れたくない」
続いてしおり。
「陽光は、たまにアホで、いつも滑舌悪くて何言ってるか分かんないけど、一緒にいて、楽しいって思えるから。・・・あたしも、陽光のこと、好きだな」
最後にあたしが締めくくった。
「こんなカタチでしか、大事に思ってる友達のこと祝えられないヤツらだけど、思ってることは、3人とも一緒だよ。・・・・・・」
そう。思ってることはただ1つ。


