「・・・」
顔から落ちたケーキを、陽光はしばらく、無言のまま見つめていた。
―ありゃ。ご機嫌損ねちゃったかしら?
失敗?まぁ、そうか。誰だって、自分の顔にケーキ投げつけられて喜ぶわけないもんね。しかも、誕生日に。
まぁ、あたしは人の落胆した顔を見るのが好き・・・ゲフンゲフン、なんでもないです。
「ひかりー」
あたしは、放心状態の陽光を呼んだ。
「one・・・two・・・three・・・はいっ」
簡単なマジックをして、陽光に百均の造花で作ったブーケを渡した。
「万結ちゃん、発音いいね」
「まぁね~」
そこそこ英語はできるからね。
菫は褒めてくれたが、陽光は無反応だった。
ってか、マジックの方を褒めて欲しかったなぁ・・・。
「ねぇ」
やっとのことで、陽光が重い口を開いた。
「はい」
「なに~?」
「ん?」
しおりと菫とあたし、各々違う言葉で陽光に返事をした。


