保健室を出て、扉の前で座り込む。 俺は何を言おうとしてたんだ………… 『だから、ドキドキするのは好きだからに決まってるだろ。』 そう言いかけた俺に、顔を覗き込むようにして見てくる彼女を思い出すと、顔が火照ってくる。 まだだ。まだ言ってはいけない。 彼女が、咲が俺を思い出すまでは、まだ口にしない。じゃないと…………… 「気長に待つか……………」 小さく呟いき、『クロ先輩』ではなく『王子』と呼ばれるであろう教室へと向かった。