「でも、私先輩みたいにからかったりしてませんよ?」


「いや、だからさ…………」

そう言いかけて、先輩は大きなため息をつく。



「…………だから?」



「……………っ!いやっ、何でもない!俺、そろそろ教室戻るね。」


急にそそくさと保健室を出ようとする先輩。



「えっ、授業に出るんですか?」


さっきまで、『授業に戻れ』と言っていたのに、本当に戻っちゃうんだと思うと寂しく感じた。


「さすがに戻らないと怪しまれるしね。それに、もう大丈夫そうだし。」


「え…………?」




「それじゃ……………あ。」


扉に手を掛けようとしたのに、突然こちらに引き戻ってくる。


そして私の目の前で立ち止まり、私の頭にポンッと手を置いた。




「じゃあ、また。テスト、楽しみにしてる。」


そうして、二人だった空間を出ていった。