布団の上にあった私の左手をギュッと握り、彼の胸に当てられる。


そして椅子から軽く腰を上げた彼は、私の方に身を乗り出すようにして距離を近づける。気づけば、私の顔のすぐ目の前に先輩の顔があった。


「ふぇっ…………!?」


緊張と、さっきから繰り返される先輩の謎の行動に頭がおかしくなりそうで。思わず変な声が出てしまう。





「あ、あの、クロ先輩…………!本当に大丈夫ですか………?頭でも打ったんじゃっ……………!?」


慌てる私の言葉は、口元に当てられた先輩の人差し指によって遮られた。




「ねぇ、咲ちゃん。俺の心臓の動き…………分かる?すっげぇ速いの。」


そう言われて、先輩の胸に当てられた左手が軽く動いているのに気づく。



トクン………トクン…………トクン…………




「…………はい、感じます。」


「これさ、俺も咲ちゃんにドキドキさせられてる証拠なんだけど。」


「えっ…………」


「俺だって、咲ちゃんと一緒ってこと。」




いっ…………しょ?

私と?一緒?そう思うと、フッと笑みがこぼれた。


「ふふっ、そっか。クロ先輩も私と一緒なんですね。」