俺だけが知るお姫様



「クロ先輩、ごめんなさい。私こそもっと考えればよかった…………体調を崩したら、先輩の迷惑になるって分かってたのに、自分の気持ちばかり優先しちゃって…………」



『俺のせいだ』。

先輩にそう言わせたのは私だ。




『先輩の喜んでほしい』。

そんなのただの自己満足。本当は、私が先輩の喜んでくれる顔を見たかっただけ。



「私、先輩の笑顔が大好きなんです。すごく温かい気持ちになるんです。だから…………」



そう言って、クロ先輩を抱き締めていた腕を緩める。そして、彼のいつもの何倍もの笑顔で続ける。


「だから、そんな顔しないでください。先輩のせいじゃないんです。そんなに、自分を責めないで。私は全然大丈夫ですから!」



先輩は少しの間、目を見開いて私を見ていた。そして、ふっ、と軽く微笑む。


「うん…………そっか、そうだね。ありがとう、咲ちゃん。」