やばい…………寝たふりを続けないといけない!たぶんだけど、すごく視線を感じる。今さら、寝てるふりをしてました、なんて言えない!


ふわっ…………



先輩が私の髪に触れる。その瞬間、私の体がビクッと反応しそうになったけれど、必死に耐える。


「…………ん…………………めん………」



すごく小さな声で、何かを言っているようだった。


「……………ごめん…………ごめん………」


よく聞くと、それは何度も何度も繰り返される謝罪の言葉だった。クロ先輩の声は今にも消えそうな、とてもか弱い声で、初めて聞く声だった。



もしかして、私に謝ってる?私が体調を崩したから…………



「……………先輩。」


「…………っ!咲ちゃん…………」


私は寝ているふりを続けるなんてできなかった。先輩が謝る姿を見ていられなかった。



「咲ちゃん、ごめん…………」



先輩、どうしてそんな顔をするの?


どうして今にも泣いてしまいそうな、悲しい顔をするの…………?