「……………早く行ってあげてください。別にあなたのために言ってるんじゃない。咲のためです…………!」


あの子に今必要なのは私じゃない。


『親友』が必要なんじゃない…………




先輩は教室を出ようとする前に、

「…………教えに来てくれてありがとう。あと、ちゃんと教室戻れよ。」



そう一言言って廊下を走っていった。



何よ、偉そうに先輩ぶって。教えたくて教えたんじゃないわよ。


そう思いながらも、クスッと笑ってしまう。


「王子なら咲のこと、大切にしてくれるんだろうな…………」



私は教室で困っているであろう祐介の顔を想像しつつ、空き教室を出た。