今思えば、祐介は咲と王子のこと知らないんだった。
それを思えば、突然王子に会いに行くと言った私にあんな態度を見せるはずだ。あとで説明しないと。
そうこう思っているうちに王子のクラスの教室に着いた。
…………バンッ!
「………………王子いますか?話があるんですけど?」
今の私は誰がどう見ても機嫌が悪そうだろう。実際に今、腹が立って仕方がない。あの人は、咲を何だと思っているのだろう。
「おっ、おいっ…………お前一年か!?早く教室に戻りなさい!授業始まってるんだぞ!?」
教卓の前に立つ先生がガミガミと怒る。しかし今の私はそんなことどうでもいい。
「……………俺に何か?」
そう言って席を立ったのはあの人だった。
「……………お話が。」
たった一言私がそう言うと、王子は先生の目の前まで歩き出す。
「先生、少しだけ抜けてもいいですか?この子も早く授業に戻らないと行けませんし…………」
「あ、ああ………お前がそう言うなら………」
「すぐ戻ります。………さぁ、行こう。」
そう言って、私を連れ教室を出た。