咲が保健室に向かったのを確認して、私は別の方へと歩き出した。
「お、おいっ!お前はどこ行くんだよ?授業始まるぞ!」
おどおどとした様子で私の腕を引く祐介。
「どこって?二年の教室だけど?…………王子にあってくる。」
私の腕を掴んだまま祐介はキョトンとしている。バカみたいな顔…………
「えっ、はっ?王子ってあの王子?どうしてお前があの先輩に会いに行くんだよ?っていうか、次の授業お前がいなくてどーすんだよ!文化祭の出し物決めるんだぞ!?」
そうだった。次は授業と言ってもLHR。私が前に出て話を進めないといけないんだった。
「…………あ、じゃあ祐介代わりにお願い!私、王子に文句言わないと気がすまないから。」
「文句って…………おいっ!」
後ろのほうでうるさいけど、無視して早足で廊下を歩く。
咲があんなにしんどそうなんだもの。文句の一つや二つ、言ってもいいはずだ。