咲がプリンを取りに行って、リビングには俺と咲のお母さんの二人。



「まさか、咲があなたを連れてくるなんてびっくりしたわ~。」


……………気づいている………


「……………お久しぶりです。最初から気づいていたんですね。」

「小さい頃、何回も会ったもの!顔見てすぐに分かったわ。『黒崎』って名乗ったときは少し不安になったけど…………咲は『クロ先輩』なんて言ってるし。」


何もかもを見透かしているかのように、俺の目をじっと見てくる。



「合わせてくださってたんですね。俺、まだ名前も何も教えていなくて…………」


「『クロ先輩』は?」


「あれは、あだ名をつけてくれって頼んだら、たまたま『クロ』って…………」


そう…………と小さな声で呟く咲のお母さん。



「たまたま……………ね。偶然なのか、それとも必然なのか……………」