「いただきます。」
三人の声がそろう。
…………どうしてこうなったんだろう。
断るだろうと思ったら、先輩はウチで食事することにOKした。
そして今…………
「どうかしら~?お口に合うかどうか………」
「いえ、すごく美味しいです。」
「本当?よかったわ~!ごめんなさいね、お父さんも一緒に食べられたらよかったんだけど、今日に限って残業みたいで~。」
私としてはすごく安心している。お父さんがいたら、もっと面倒なことになっていたと思う。
「クロ先輩、ごめんなさい。送っていただいた上に、お母さんが巻き込んで…………」
「何言ってんの。逆に嬉しいよ、まさか咲ちゃん家で一緒に食事ができるなんて。それに、今日は家に帰っても一人の予定だったし。」
やっぱり広い心の持ち主だなぁ~………
「黒崎君、ご家族は?」
「…………両親と、3つ上に兄が一人。」
「先輩、お兄さんがいらっしゃるんですか!?会ってみたいな~。きっとクロ先輩くらい何でもできてカッコいいんだろうな~…………」
3つ上ってことは大学生かな~。あ、お仕事してるかも。
「……………咲ちゃん、お母さんの前でだいぶ恥ずかしいんだけど………」
「へ?」
…………!また私、カッコいいとか言っちゃった!?
先輩に指摘されて、初めて気づく。どんどんと顔に熱が集中していく。
「それに、俺はあんまり兄貴には会わせたくないな~………」
「どうしてですか?」
「いや、咲ちゃん狙われかねないから………」
どういうことだろう?