「顔、赤いよ?」

目の前には、まるで王子様のように微笑みかけてくる男の子が。余計に赤みを増す私の頬。


「わ、私急いでいるので!す、すみませんでした~。」


「あ、待って!」

早足で立ち去ろうとする私の手を、後ろから彼が引く。

「な……………何ですか………?」

「…………ううん、引き止めてごめんね。じゃあ、またね。宮川咲ちゃん。」

私は不思議に思いながらも、会釈をしてその場を去った。