「あれ?姫野は?」
俺の後ろの席に座っている宮川に、自分も椅子に座って問いかける。
「先生に呼ばれたみたい。」
「ふーん…………そっか。」
つまらない、と思っている自分がいる。
「ねぇねぇ、藤森君。どう?ゆりちゃんとは進展あった?」
ワクワクした様子で俺に聞いてくる宮川。
「毎朝の見てて、進展あるように思うか………?」
「アハハハ…………」
俺は、姫野が好きだ。あいつの真っ直ぐさに惹かれたのはいいが、それが逆に俺を苦しめている。
このことを知っているのは、唯一宮川だけ。他の奴らに話しても、からかわれるだけだと思ったから。