俺だけが知るお姫様


その日も図書室に行ってみると、すでにクロ先輩が本を読みながら座っていた。

私に気づいた先輩は本を閉じた。

「おっ!どうだった?収穫のほうは。」

「……………ダメでした。」

拗ねたように言う。


「だから言ったじゃん。不思議だね、みんなが俺のことを『王子』って言うんだ。でも、君は違う。それが俺にとって、スゴく嬉しいんだ。」

それを聞いて、私は少し嬉しく思った。


「さて…………じゃあ何をしてもらおうかな。」

「えっ!本気だったんですか!?」

「うん。」

とても楽しそうに言う彼を見て、さっき嬉しいと思った自分を後悔した。