ドタバタと文化祭の準備をしているうちに、文化祭当日を迎えていた。
「よしっ...こんな感じかな...」
「ゆりちゃんありがとう!すごくきれい!」
「咲のへアアレンジするのはやっぱり私じゃないと。」
ゆりちゃんはとても器用だから、私の長い髪を文化祭が始まるまでの短い時間で可愛くまとめてくれた。髪飾りはメイドさんの衣装にも合うよう、ゆりちゃんとおそろいで準備した。
メイド服もあれから衣装係のクラスの子たちがきれいに仕上げてくれた。私はミニスカートタイプのメイド服にニーハイを履いてほしいと頼まれた。ゆりちゃんは丈の長いヴィクトリアタイプというもので、美人な彼女にとても似合っている。
他の子たちもそれぞれ好きな形のものを着ている。男の子はカフェスタイルでおしゃれな格好をしている。藤森君もその中の一人である。
「おー。やっぱり宮川は着こなしてんな。」
「藤森君っ。そうかな...お世辞でもすごく嬉しい。ありがとうね。」
「いや、お世辞じゃ...」
そういった藤森君は私からゆりちゃんへ目を移した。ゆりちゃんは着るのを嫌がって当日の今日まで一度も衣装に袖を通さなかった。
藤森君は数秒間固まったかのようになっていた。