『葵依、無用に言葉を使ってはいけないよ』

『…?どうしてなの、おばあちゃん?』

『言葉には力が宿っているの。言葉はね、人を傷つけるナイフにも大切な人を守る盾にもなるんだよ。もし、誤った使い方をしてしまったら守りたい人を自分が傷付けてしまうよ』

『…分かった!わたし、大好きなひとのために力を使う!』

『えぇ、それでいいのよ』

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『葵依、お婆ちゃんが死んだわ…』

『………』

『明日、お葬式があるけど葵依も行くわよね?』

『行かない』

『…っ…、そう、分かったわ』

『(……私のせいでお婆ちゃんは死んだんだ…)』