金曜日仕事帰りに後輩と飲みに行くことになった。田辺は年は自分より10歳下で、仕事も5年以上一緒にしている良い奴だ。いきつけの居酒屋で田辺はいつものトークを繰り出す。
「鈴木さん。やっぱりカシスオレンジは最高ですね。僕これを休日前に飲むことが人生の幸せなんです。」
「本当にナベは変わった奴だな。それで幸せになると思う事がうらやましいよ。」
誠は笑いながら言った。ナベは田辺のあだ名としてつけている。
「いや、僕本当にこういった小さな幸せ好きなんですよね。あと寝る前のふかふかのベットに飛び込みとか。毎日こういったことを探すだけでも楽しいですよ。」
「毎日楽しそうだな。俺なんか家族に遊園地も連れて行く事が出来なくてさ。宝くじでも買って、少しでも良い生活と家族を安心させたいよ。」
「鈴木さんが宝くじ買うんですか?なんか意外ですね~。コツコツと金を貯める倹約家と思ってましたよ。いいじゃないですか宝くじ。僕はまだ当たった事がないですけど、少しでも夢みたい派ですし。」
「俺も前まで倹約家だったよ。でも家族の期待に答えられず、いつも先延ばしにしていたからな。家族にも将来があるし、少しでも多くの希望を見せたい。今の現状を変えるにはまず出来る事からやろうと思ってな。明日にでも宝くじ売り場へ行ってみるよ。」
「当たるといいですね。その時には僕にまたカシスオレンジでもおごってくださいよ。」
「わかったよ。本当にナベはカシス系が好きだな。」