毎朝定時の電車に乗り、通勤ラッシュの中出勤する。
今年40歳になる会社員鈴木誠は疲れた顔で車内から窓の景色を見ていた。家内は毎朝ご飯をつくってくれ、娘2人を小学校へ送る優秀な妻だ。当たり前だが家事は何でもするし、
家計のためと飲食店でパート勤めをしてくれている。本当に家内と暮らして良かったと思う。しかしそんな妻(さゆり)も娘が小学校入学してから愚痴を言い始めた。
「お金がもっとあれば…。」
どこの家庭でも直面する事実。小学校入学をした娘2人の教育費や学校に通じるお金は高い。勉強机やランドセル、筆記用具。昔子供の時に不自由なく与えれていたものが、与える側になってより厳しい現実を突き付けられた。子供の笑顔を絶えさないためにも誠は頑張り続けるしかない。だがいつもお金の事を考えてしまう。自分のお小遣いというのはあまりないが、それでもお金に余裕のある生活をしたいと思い続けていた。