簡単に折れてしまいそうなその身体をそっとベッドに降ろせば、彼女は手首を合わせ僕に付き出す。
また鍵を開ける回数が増えるな、なんて考えながら、彼女の白い手首に手錠をかけると、それが始まりの合図かの様に、噛み付くような深いキスを落とした。
触れ合う肌、粘膜、熱い吐息、
気が可笑しくなる程の甘い声。
無機質なこの部屋で、馬鹿みたいに夢中で、互いを愛するこの時間。
この世界には君と僕しかいないんじゃないかと、本気で思う、この時間。
「ーーねえ、シて」
彼女の限界が近いサイン。
潤んだ硝子の様な瞳で、脳を溶かすほど甘く囁かれれば、僕に勝ち目はない。
細く白い首に両手を添えれば、徐々に加える力を強めてく。
無邪気な笑顔を浮かべ、涎を垂らしながら、か細い掠れた声で言う。
「あり……が…と…、」
僕が絶頂に達すると同時に、彼女も意識を手放す。
規則的な寝息をたてる彼女に、ブランケットをかけてやる。
頭を撫でれば柔らかい髪質の黒髪が気持ち良く、長い睫毛が少し揺れた。
きっと君は、いつか僕に、こう言うんだろう。
「わたしを、ころして」
僕のことが、好きだから。
そうして僕は、それに対して、頷くんだろう。
君のことが、好きだから。

